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AIで作る動画の品質管理 ― 人物・空間・小物を固定し、1カットずつ確認する方法

AIで人物や場面を作る動画は、そのままでは顔や衣装、手元、台詞がぶれがちです。参照画像による固定、カットごとの検品、作り直しの基準、最後の人による確認という品質管理の進め方をまとめました。

AIで動画を作ると、出演者の手配やロケをしなくても、人物のいる場面を作れます。一方で、そのまま使うと、カットごとに顔が変わる、手の指が不自然になる、同じ台詞が二度流れる、といったことが起こりえます。

品質を決めるのは、AIの性能だけではありません。作る前の固定と、作ったあとの検品の仕組みです。この記事では、当社がショートドラマを作るときの品質管理の進め方を紹介します。

まず「固定するもの」を決める

AIは、同じ指示でも毎回少しずつ違う絵を出します。そこで、作り始める前に、変えてはいけないものを決めて、参照画像として用意します。

  • 人物:顔、髪型、体格、衣装。登場人物ごとに設定画を作る
  • 空間:家や事務所の間取り。入口から部屋までの位置関係
  • 小物:スマホの色や形、バッグ、時計など。持ち主も決めておく
  • 場所の細部:たとえば「水漏れはシンク下のここ」と決めたら、別の場所に変えない

小物は見落としやすいところです。同じ人が持っているスマホの色が、カットごとに変わるだけで、見る人は「何か違う」と感じます。人物のほか、母が使う端末と父が使う端末は別、というところまで決めておきます。

台本を、カットと発話に分ける

固定ができたら、台本を細かく分けます。1本の動画を、カット単位と発話単位に分解し、それぞれに番号を付けます。

  • どのカットで、誰が、何を話すか
  • そのカットの画角(正面、横、手元など)
  • 時間の目安(秒数)

番号を付けておくと、あとで「3カット目の母の台詞だけ作り直す」と、ピンポイントで指示できます。全体を最初から作り直す必要がなくなり、時間と手間を抑えられます。

生成したら、カットごとに検品する

作った映像は、すぐ使いません。1回の生成ごとに、検品の記録を残します。見る項目はおおむね次のとおりです。

  • 人物の連続性:顔、髪、衣装がカットをまたいでも同じか
  • 小物の連続性:スマホの色や持つ手が入れ替わっていないか
  • 手元:指の数や形、持ち方が不自然でないか
  • 表情:場面に合った表情か。急に不自然な笑顔になっていないか
  • 画面の文字:読めない文字や、意図しない文字が映っていないか
  • 音声:台詞が決めた順に、決めた回数だけ話されているか

目で見るだけでなく、音声は文字起こしにかけて、台詞の内容と順番も確認します。

台詞の重複や不自然な手・表情は、作り直す

検品でよく見つかるのが、同じ句が二度繰り返されるような台詞の重複です。カットが切り替わるところで、AIが説明を最初からやり直してしまうことがあります。

こうした問題が出たときは、次のように扱います。

  1. 問題のあったカットだけを特定する
  2. 台詞をカットごとに「一度だけ言う短い句」に分け直す
  3. そのカットだけを作り直す
  4. 良かった部分は残して、失敗した部分だけを差し替える

手や表情の崩れも同じです。直せるものを無理に編集で隠すより、作り直すほうが早く、仕上がりも自然になります。

時間の経過は、画面の表示で見せる

ドラマでは「数分後」「約1時間後」のように、時間が進む場面があります。AIの映像は、時間の流れを自然に作るのが苦手です。そのため、時間経過は映像の力で作らず、編集で表示します。

  • 黒い背景に、短い言葉を置いて場面をつなぐ
  • 時計の画面などを置き換えて、時間が進んだことを示す
  • 読み上げはせず、画面の文字だけで伝える
  • 表示の長さは、読める長さを確保する

文字は、通常の台詞テロップとは見た目を変えると、「ここで時間が飛んだ」と見る人にすぐ伝わります。

最後は、人が1カットずつ確認する

検品の仕組みを作っても、最後は人が確認します。仕上がった動画を、1カットずつ再生して見ます。

  • 全体を通して、音と映像が合っているか
  • 字幕と台詞の内容が一致しているか
  • 切り替わる前後で、人物や小物が入れ替わっていないか
  • 実物が受け取れていない素材(ロゴなど)が、仮の表示のままになっていないか

仮の表示のものは、仮のまま記録し、受け取ったことにはしません。確認した結果と、作り直した履歴は、記録として残しておきます。

作り直しを減らす、指示の書き方

作り直しは、時間も費用もかかります。減らすために、最初の指示を丁寧に書きます。

  • 固定する参照画像を、毎回すべて渡す
  • 1回の生成に入れる動きを、少なくする(人物の移動と手元の細かい動きを同時に入れない)
  • 台詞は、カットごとに一度だけ言う短い句に分けて指示する
  • 映してはいけないもの(余計な人物、読める文字など)を、先に書いておく

動きを欲張らないことは、とくに効果があります。1カットで「立ち上がって、振り返って、スマホを見せて、話す」を全部やらせるより、2つ3つのカットに分けたほうが、崩れにくくなります。

また、検品の記録には、使った素材、生成した回数、採用したカットと不採用にしたカットを書き留めます。あとから「なぜこのカットを選んだか」を説明できることが、品質管理の土台になります。

まとめ

  • 作り始める前に、人物・衣装・空間・小物を参照画像で固定する
  • 台本をカットと発話に分け、番号を付けて管理する
  • 生成のたびに、人物・小物・手元・表情・画面の文字・音声を検品する
  • 台詞の重複や不自然な手・表情があるカットは作り直す
  • 時間経過は、映像で作らず画面の表示で見せる
  • 最後は、人が1カットずつ確認してから納品する
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