採用動画を作ろうと思っても、「何を撮ればいいのかわからない」「台本を用意するのが大変」「社員に演技をさせるのは気が引ける」と、最初の一歩で止まってしまう会社は少なくありません。
そこでお勧めしたいのが、質問に答える形で撮る方法です。台本を読むのではなく、質問に対して社員が自分の言葉で答える。その様子を、職場の映像と組み合わせて短い動画にします。
この記事では、質問に答える形の撮り方と、続けやすい進め方、そして動画で「大変さ」も見せる理由をまとめます。
質問に答える形とは
撮影の進め方は、シンプルです。
- ディレクターが、あらかじめ用意した質問を投げかける
- 社員が、自分の言葉で答える
- 答えの要点と、職場の映像(仕事の場面、道具、休憩室など)を組み合わせて編集する
社員が台本を覚える必要はありません。話し慣れていない人でも、質問されて答えるだけなら、ふだんの会話に近い形で話せます。
なぜこの形が向いているのか
求人を見る人が知りたいのは、会社が用意した言葉ではなく、実際に働いている人の本音です。台本を読む声は、どうしても「説明」に聞こえます。質問に答える言葉には、言いよどみや、ちょっとした笑いが入ります。そこに、人柄が出ます。
質問の例
質問は、応募する人が心のなかで抱えている疑問に合わせて作ります。
- 入社する前は、どんなところが不安でしたか?
- 実際に入ってみて、どうでしたか?
- 1日の中で、いちばん好きな時間はどこですか?
- この仕事の大変なところは、どんなところですか?
- どんな人と一緒に働いていますか?
- これから入る人に、ひとこと伝えるとしたら?
質問を決めるときは、まず「応募前の人がどんな疑問を持っているか」を書き出します。その疑問に、社員の言葉で答えてもらう流れです。
顔出しは任意でよい
「顔を出してもらうのは難しい」という声はよく聞きます。顔出しは必須ではありません。
- 手元や作業の様子、後ろ姿を映す
- 声だけを使って、映像は職場の風景にする
- 顔を出せる人と出せない人を混ぜる
出演する人にとって、無理のない形にすることが大切です。本人が納得していない撮影は、表情に出て、見る人にも伝わってしまいます。また、出演をお願いするときは、どこに公開されるのか、いつまで使うのかを事前に伝えておくと、あとのトラブルを防げます。
月に1日、まとめて撮る
採用動画で大切なのは、1本の完成度よりも、出し続けることです。ただ、毎週撮影の日を作ると、現場の負担が大きくなります。
そこで私たちは、月に1日を撮影の日と決めて、1か月分をまとめて撮る形をお勧めしています。
- 撮影の日は、質問に答える撮影と、職場の映像の撮影を同じ日に済ませる
- 複数の社員に、続けて質問に答えてもらう
- 撮った素材を分けて編集し、1か月かけて少しずつ投稿する
こうすると、現場が撮影のために時間を割くのは月に1日だけです。それでいて、動画は毎週のように投稿できます。短い動画を続けて出すことで、見る人は少しずつ職場を知っていきます。
大変さも見せる
採用動画というと、良いところだけを映すものと思われがちです。しかし、それだと入社後に「思っていたのと違う」と感じる人が出やすくなります。
大変さを見せると応募が減るのでは、と心配になるかもしれません。ただ、入る前に知っていれば防げた「思っていたのと違う」は、入社後の早い退職につながりやすいものです。応募の「数」だけでなく、入社後も続く人に来てもらうことを目指すなら、事前に正直に伝えるほうが結果的に良いと考えています。
大変さの伝え方
- 「大変だけど、こうやって乗り越えている」という形で話してもらう
- 先輩が最初につまずいたことと、周りの助けを語ってもらう
- 繁忙期など、きつい時期があることを事実として伝える
大変さを隠さず、でも不安をあおらない。このバランスを取るために、ディレクターが質問の仕方を工夫します。
再生数を目標にしない
動画を出し始めると、再生数が気になります。ただ、採用動画の目的は、再生数を増やすことではありません。職場に合う人に見てもらい、応募前に理解してもらうことです。
再生数が少なくても、見た人が「ここで働きたい」と思って応募してくれれば、その動画は役目を果たしています。反対に、再生数が多くても、職場と関係のない人に見られているだけなら、採用にはつながりません。
目標は、応募の数、応募者の質、入社後の定着など、採用の結果に近いものに置くのがよいと考えています。
撮影当日の進め方
撮影の日は、社員が緊張しないことがいちばんの課題です。最初から本番として回すのではなく、雑談のような質問から始めて、声が出てきたところで本題に入ると自然に話せます。
- 答えは、一度で完璧に言い切らなくてよい。言い直しても、あとで編集で整えられる
- 長く話してもらい、使うのは要点の部分だけにする
- 答えながら手を動かしてもらうと、緊張がほぐれやすい
撮影が終わったあとは、使う部分を出演者に見てもらい、言い方や映り方に問題がないか確認してから公開します。本人が納得して出ている動画は、見る側にも素直に伝わります。
動画を撮る前に決めておくこと
- 誰に来てほしいのか(未経験の若い人か、経験者か)
- 動画を見たあと、どこへ案内するのか(求人ページ、公式LINEなど)
- 誰が出演して、顔を出すのかどうか
- 大変なことも含めて、何を伝えるのか
この4つが決まっていれば、質問の内容も自然と決まります。
まとめ
- 採用動画は、ディレクターの質問に社員が自分の言葉で答える形にすると、台本なしで人柄が伝わる
- 答えの要点と職場の映像を組み合わせて、短い動画に編集する
- 顔出しは任意。手元や声だけでも雰囲気は伝わる
- 月に1日まとめて撮り、1か月かけて少しずつ投稿すると、現場の負担が少なく続けられる
- やりがいだけでなく大変さも伝え、入社後のギャップを減らす
- 目標は再生数ではなく、応募の質と入社後の定着に置く