採用動画を作ってSNSに投稿し始めると、まず気になるのが再生数です。再生数が伸びれば手応えを感じますし、伸びなければ不安になります。けれど、再生数だけを見ていると、本来の目的である「採用がうまくいっているのか」がわからなくなってしまいます。
採用の効果を測るには、動画の外にある数字を見る必要があります。何人が応募して、何人が入社して、その人たちは続いているのか。これを、費用と合わせて見るのが基本です。
この記事では、採用の効果を測るために見ておきたい3つのことを紹介します。採用単価、定着、そして応募の入り口ごとの記録です。
1つ目:採用単価を計算する
採用単価とは、1人を採用するのにかかった費用のことです。動画やSNSの取り組みでも、同じ考え方で計算できます。
計算式
- 制作・運用費:動画の制作や、投稿・分析にかかった費用
- 広告費:求人広告やSNS広告に使った費用
- 採用実費:面接の交通費、求人媒体の掲載料など、採用に実際にかかった費用
- 入社数:実際に入社した人の数
計算するときの注意
- 同じ期間で集計する:費用と入社数は、同じ期間で数える。費用だけ半年分、入社数は1か月分、というような集計は避ける
- 入社数が0人のときは、無理に計算しない:0で割ることはできないため、その期間は「入社なし」として記録する
- 費用の範囲を最初に決めておく:どの費用を入れるかが途中で変わると、前後の比較ができなくなる
採用単価は、ほかの方法と比べるときにも役立ちます。たとえば、人材紹介を使った場合と、自社の発信で採用した場合を、同じ式で見比べられます。ただし、比べるときは「同じ期間」「同じ費用の範囲」で揃えることが大切です。
2つ目:入社後の定着を見る
採用単価が下がっても、入社した人がすぐに辞めてしまっては意味がありません。採用の成果は、入社した瞬間ではなく、入社後も続くかどうかで決まります。
見ておきたいこと
- 在籍しているか:入社から3か月後、6か月後など、区切りを決めて在籍を確認する
- 募集のときに伝えた内容との差:実際に働いてみて、募集時に聞いていた内容と違うところはなかったか
特に2つ目が大切です。辞める人の理由には、「聞いていた話と違った」が含まれることがよくあります。募集時に伝えた内容(1日の流れ、給与、残業、人間関係など)と実際の差を、入社した人に聞いて記録しておくと、次の募集で何を直すべきかが見えてきます。
聞き方のコツ
差を聞くときは、アンケートのような堅い形よりも、短い面談の中で聞くほうが本音が出やすいです。「入る前に聞いていた話と、実際で違ったことはあった?」と、軽く尋ねます。違いがあっても責めず、次の募集に活かすための情報として受け取ります。
3つ目:応募の入り口ごとに記録する
応募が来たとき、その人がどこで求人を知ったのかを記録しておきます。入り口の例は、次のようなものです。
- InstagramやTikTokなどのSNS動画
- 求人サイトや求人広告
- 自社の採用ページ
- 知人からの紹介
- 人材紹介会社
記録のしかた
応募者に「どこで求人を知りましたか?」と、選ぶ形で聞きます。応募フォームや、最初の返信に一言添えるだけで構いません。そのうえで、入り口ごとに次の数を記録します。
- 応募の数
- 面接に進んだ数
- 入社した数
- 入社後に続いている数
こうすると、どの入り口が「応募は多いが、面接に来ない」のか、どの入り口は「応募は少ないが、入社後も続く」のかが見えてきます。入り口ごとに力を入れる場所を変えられるのです。
見落としやすい点
動画を見て興味を持った人が、あとから求人サイトで検索して応募する、ということもあります。この場合、応募の入り口は「求人サイト」と記録されても、きっかけは動画かもしれません。そこで、「求人を知ったきっかけ」と「応募した場所」を分けて聞くのも一つの方法です。
再生数は「おまけ」として見る
再生数が不要というわけではありません。どんな内容の動画が多く見られているかは、次の企画の参考になります。ただし、再生数はあくまでおまけの指標として扱います。
- 再生数が多い:見られている内容の傾向がわかる。ただし、職場に合う人が見ているかはわからない
- 再生数が少ない:伸びていないとは言えるが、採用に効いていないとは限らない
採用の目的は、再生数を集めることではありません。職場に合う人に見てもらい、応募・入社・定着につなげることです。再生数は、そのための「途中経過」のひとつにすぎません。
数字を取る前に決めておくこと
効果を測るには、始める前の準備が必要です。
- どの費用を採用単価に含めるか
- 入社後の在籍を、いつ確認するか
- 応募者に、入り口をどう聞くか
- 応募や入社の数を、誰がどこに記録するか
この記録は、会社の側で応募や入社の数を集計していないと取れません。動画の制作側だけでなく、採用担当者と一緒に決めておくのが現実的です。
結果を約束しない
採用の結果は、動画だけで決まるものではありません。求人の条件、面接での対応、受け入れ体制など、いくつもの要素が関わります。そのため、動画を作れば必ず応募が増える、採用が成功する、とは言えません。
だからこそ、数字を見ながら少しずつ直していく姿勢が大切です。うまくいっていない部分が数字で見えれば、直す場所も見つかります。
まとめ
- 採用動画やSNSの効果は、再生数ではなく、採用単価・定着・応募の入り口ごとの記録で見る
- 採用単価は、(制作・運用費+広告費+採用実費)÷ 入社数で計算し、同じ期間・同じ費用の範囲で集計する。入社が0人のときは計算しない
- 定着は、入社後の在籍と、募集時に伝えた内容との差を確認する
- 応募者に求人を知った入り口を聞き、入り口ごとに応募・面接・入社・定着の数を記録する
- 再生数は、次の企画を考える参考にとどめ、数字で見えたところを直しながら続ける