求人を出しているのに、応募が集まらない。応募はあっても、同じ業界の経験者ばかりで、未経験の人がなかなか来てくれない。そんなときは、求人票に書いてある内容そのものより、書いていないことに原因があるかもしれません。
求人票には、職種、給与、勤務時間、休日といった条件が並びます。どれも大切な情報です。ただ、条件が同じように並ぶ求人の中から1社を選ぶとき、人は条件の外側にある「ここで働く自分の姿」を想像できるかどうかで、応募するかどうかを決めています。
この記事では、求人票だけでは伝わりにくい3つのことを取り上げます。1日の流れ、給与の実例、そして誰と働くか。どれも特別な技術は要らず、書き方を少し変えるだけで見せられるものです。
なぜ条件だけでは応募につながりにくいのか
応募を考えている人は、条件を比べる前に、まず不安を探しています。「自分にできるだろうか」「怖い人がいたらどうしよう」「残業が多かったら続かないかもしれない」。こうした不安は、求人票の条件欄には出てきません。
特に未経験の人は、その仕事の1日がまったく想像できません。想像できないものは、不安のまま残ります。不安が残ったまま応募ボタンを押す人は多くないので、応募前の不安をひとつずつ減らす情報が、応募のハードルを下げます。
求人票を書く側は、毎日その職場にいるので「当たり前」になっていて、書き忘れがちです。当たり前だからこそ、外から見ている人にはいちばん知りたい情報になっていることがあります。
1つ目:「1日の流れ」を書く
未経験の人がいちばん不安に感じるのは、1日が想像できないことです。そこで、始まる時間、休憩の時間、終わる時間を、時刻を入れて書きます。
書き方の例
- 朝は事務所に集合して、その日の段取りを確認する
- 午前は現場(または利用者さんのところ)で作業をする
- 昼に1時間の休憩をとる
- 午後は作業のつづきと、片づけ・記録をする
- 夕方に戻って、翌日の準備をして終わる
細かい分刻みは要りません。「朝に何をして、昼はどうして、いつ帰れるのか」が一本の線でつながって見えれば十分です。初日に何をするのか、最初の数日は先輩と一緒に動くのか、といった一言も、新しく入る人の安心につながります。
書くときのコツ
「忙しい日」と「落ち着いている日」の違いが大きい仕事なら、その違いも正直に書いておきます。良い面だけを見せて入社してもらうと、あとで「聞いていた話と違う」という気持ちが生まれやすくなるからです。
2つ目:お給料は「例」で見せる
給与欄に「月給は経験に応じて」のように幅だけが書いてあっても、自分がいくらもらえるのかはわかりません。上限は経験者の金額で、下限が自分の金額かもしれない、と考えるのが自然です。
そこで、実例を添えます。
- 入社1年目の人のモデル(基本給、手当、残業を含めた月の目安)
- 休みの日数(年間・月あたり)
- 残業や夜勤が実際にどのくらいあるか
- 昇給や手当がつく条件
実例を書くときは、実際の運用に合ったものにします。見栄えを良くするために、ほとんど出ない金額や例外的な働き方を載せると、後から信頼を失います。「うちではこの働き方が一般的」と言える内容だけを書くのが基本です。
金額を載せることに抵抗がある場合は、まず休みの日数や、残業・夜勤の実際から書き始めても構いません。働き方の具体が見えるだけでも、応募前の印象は変わります。
3つ目:「誰と働くか」を見せる
仕事を続けられるかどうかは、仕事内容そのものよりも、職場の人間関係で決まることが少なくありません。応募する側もそれを知っているので、「どんな人がいるのか」は気になるところです。
文章で見せる場合
- 先輩の名前と、ひとこと(「最初に教えてくれるのは〇〇さん」など)
- 職場の年齢層、男女の比率、中途入社の人の割合
- 新しく入った人にどう教えているか
「アットホームな職場です」という言葉は、どこの求人にも書いてあるので、ほとんど伝わりません。それよりも「昼休みは、みんなで同じ部屋で食べています」のような、場面が見える一文のほうが、読む人の頭に残ります。
動画で見せる場合
人柄や雰囲気は、文章よりも映像のほうが伝わりやすい部分です。先輩が話している声、現場での動き、休憩中のやりとりを見てもらえれば、「この人たちとなら働けそう」という感覚が応募前に生まれます。ここは、採用動画がいちばん役に立つところです。
写真や動画で補う
文章で伝えにくいことは、写真や動画で補います。職場の入り口、休憩室、使う道具や車両、更衣室。細かい場所ですが、応募前の人は「自分がそこにいる場面」を探しながら見ています。きれいに整えすぎず、ふだんの様子が写っているものを選ぶと、入社後の印象との差が小さくなります。
求人票の写真を差し替えるだけでも、読む人の受け取り方は変わります。まずは手元にある写真を見直し、「1日の流れ」「お給料」「人」のどれが足りないかを確認するところから始めるとよいでしょう。
書いた内容は、そろえておく
求人票に書いたことは、面接や入社後の説明でも同じように話せる必要があります。求人票では「残業は少なめ」と書いていて、面接で「繁忙期は忙しい」と話すと、聞く側は混乱します。
求人票、動画、面接での説明、入社後の実際が同じ内容になっていると、入社した人の「思っていたのと違う」を減らせます。書く前に、社内で「実際はどうなのか」を一度確認しておくと安心です。
まとめ
- 求人票の条件だけでは、「ここで働く自分」が想像できず、応募につながりにくい
- 1日の流れは、始まる時間・休憩・終わる時間を時刻つきで書く
- お給料は幅だけでなく、入社1年目のモデルや休み・残業の実際を例で見せる
- 「誰と働くか」は、先輩の名前やひとこと、場面が見える一文で伝える。雰囲気は動画が得意
- 良い面だけでなく、忙しい時期などの実際も書き、求人・面接・入社後の説明をそろえる